短期記憶が長期記憶に変わる仕組み

速読大仏

2012年06月19日 14:18

 以前、記憶には種類があるという話をしました。一番基本的な分け方がその場限りの記憶である短期記憶と長期間保持し続ける長期記憶という分け方です。

 私たちが通常「記憶した」という場合の「記憶」とは長期記憶です。いくら大量に記憶してもその場で忘れてしまっては意味がないからです。しかし、この長期記憶は脳のどの部分にどのように保存され、どうやって思い出すのかと言うことについて、まだ明確には解明されていません。

 しかし、なぜ短期記憶で終わってしまうものと長期記憶に保存されるものがあるのかということがかなり分かってきました。

 それは脳内の海馬という部分によって短期記憶で終わってしまうものと長期記憶に移行するものが選別されているという事実です。

 神経細胞(ニューロン)はシナプスと呼ばれる部分を通じて、神経伝達物質と呼ばれる化学物質をやりとりすることで信号を送ります。海馬ではこの神経伝達物質のやりとりの量を感じ取り、それが増加するとその伝達物質のやりとりが伝えている情報を短期記憶で終えずに長期記憶に保存するように選別していると考えられているのです。

 神経伝達物質のやりとりが増えるには3つの原因が考えられます。第一に神経伝達物質を受け取る部分(受容器)が増えること。第二に神経伝達物質自体の量が増えること。第三にシナプスやニューロンが増えること。この三つです。

 神経伝達物質と受容器の関係は雨とコップの関係に例えられます。雨が降ってきたとき、置いてあるコップが一つだけでは、一杯分の水しか貯められません。しかしたくさんコップを並べればそれだけたくさんの雨水を受け止めることが出来ます。つまり、受容器が多ければ多いほどもれなく神経伝達物質を受け取ることが出来るので、それだけ多くの神経伝達物質のやりとりが発生することになるのです。

 上記の状態が続くと放出される神経伝達物質そのものが増えていきます。これが第二のケースです。雨とコップのたとえでいうと、雨が大降りになりすぐにコップが一杯になるような状態になったということです。

 そして最終的にはシナプスやニューロンそのものが増えていっそう神経伝達物質のやりとりが増えていきます。雨とコップの例で言えばコップの水を流していたパイプ(シナプスやニューロン)が水が多すぎて流しきれなくなり、新しいパイプを設置した状態です。
 この状態になると神経伝達物質が多くなってもスムーズにやりとりできます。言い換えればそれだけしっかりと記憶された状態になったと言えます。

 このようなしくみで短期記憶が長期記憶へと移行すると考えられているのです。

関連記事
記憶術で脳を活性化する
記憶術でスポーツ能力を向上させる その2
記憶術でスポーツ能力を向上させる
突飛なイメージが記憶に残りやすくなるわけ
短期記憶が長期記憶に変わる仕組み
速読と記憶術の使い分け
速読と記憶術
Share to Facebook To tweet